初デートは

婚活パーティー終了後に選んだ初デートの場所は、これまでも仕事帰りに何度か来たことのある居酒屋さん。特に女性社員の受けがいいお店で、料理がお洒落で美味しいっていうのがポイント。そしてこのお店を選んだのは、全国の色んな地酒をたくさん置いているっていうのもポイントだったんだよね。
実は、パーティーの時に使ったプロフィールカードの「好きなもの」という欄に彼女は「日本酒」って書いてあったんだ。

お店に入ってすぐ、カウンターにずらりと日本酒が並んでいることに気付いた彼女は「うわぁー、すっごーい」という驚きと喜びの声をあげてくれた。
「よっしゃ!つかみはOKって感じだね」と心の中でガッツポーズ。日本酒好きな彼女も、最初はやっぱり「とりあえずビール」って感じ。聞くと、酔って記憶を無くしたことは皆無とのこと。「そんなに飲めないんですよ」と謙遜しているが、これはかなりの酒豪と判断。

同じペースで飲んでいたら、こっちが先につぶれちゃうな…。

適当に飲み食いしながら、今日の婚活パーティーのこと、出身地、子どもの頃のこと、学生時代のこと、仕事のこと、そして結婚観なども話したが、会話の多くはテレビ番組のことだったり、お笑いタレントの話しだったりという他愛のないものばかりだった気がする。
ただ、少ない仕事についての会話の中で彼女は仕事が大好きで、女性であるがゆえにぶち当たる壁に対して怒っていること、そしてそんな壁には負けずに前に進もうとする熱意がひしひしと伝わってきたことだけはとても印象深く残った。

彼女がトイレに立った時に時計を見ると、店に入ってから2時間以上経っていることに気付いた。気分の乗らない接待なら1時間でも長く感じてしまうのに、今日はアッと言う間の2時間だったなぁ…。

女性「このお店、とっても気に入りました。まだ飲んだことないお酒もいっぱいあるから、また連れてきてくれますか」
 私「もちろんです。僕とでいいんですか?」
女性「はい。」
といってにっこり笑う。

携帯番号とメルアド、そしてPC用のEメールアドレスを交換して初デートは終了。同じ電車に乗り、ひと駅先で彼女は乗換のため電車を降りた。
絶対、連絡してくださいね」と言って笑顔で手を振る彼女に、僕も笑顔で手を振った。