悪魔の囁き

2度目の婚活パーティーは玉砕といってイイ感じだったので、その後の童顔美少女ちゃんとのデートは本当に楽しい時間だった。正に地獄の淵から天国に駆け上がったって感じ。

バツイチに対する考え方の話しから、お互いの結婚観みたいな話題になった。僕は、最初の結婚がダメになった話しや、前回知りあってしばらくお付き合いした女性とも同じようにダメになったことを彼女に話した。「そういう意味では、私は理想的なタイプかもしれませんよ。」と言って彼女が笑った。

「仕事に対してそれほど執着はないし、家で子どもと一緒にいられたらいいなって思ってますよ。あくまでも理想って言うか妄想ですけどね。」
「でもきっと、ずっと家にいると飽きちゃうだろうから、子育てが落ち着いたら多少は働きたいなって思うけど…。」

正直嬉しかった。

…ってか、これは行くしかないでしょ!って思った。
でも「じゃあ僕と付き合ってみますか?」って軽く言えないよね。相手は今日のパーティーでとりあえずカップル成立してるんだもん。たまたま今日は相手の都合が悪くなっただけであって、彼女が僕よりもその男を上位にランクさせたって事実は変えられないもんね。

そんなの関係ないだろう。チャンスを逃すなよ!」という悪魔の囁き…。

でも、その場では核心的な言葉を口にすることはできなかった。彼女の言った「理想的なタイプかも…」って言葉も、半分冗談っぽい感じだったしね。ここで変なこと言ってしまってせっかくの楽しい雰囲気が壊れてしまうのも嫌だし、恥もかきたくないしね

その後も理想とする結婚像や、お互いの子どもの頃の話し、両親の話し、お笑い芸人や映画の話題など、他愛のないおしゃべりが続いた。僕は根っからの営業マンなので、話題には事欠かないっていうのが自慢の一つ。笑わせるネタや、ちょっと感心させるトリビア的な雑学は引き出しが多いので、こういう時にも重宝するんだよね。僕お互い2杯目の飲み物が無くなる頃、は「どこか食事でも」って誘おうかと考えていた。

でも、彼女の方から「じゃあ、今日はそろそろ帰ります」と切り出された。
ここで思いきって誘うべきかと迷った挙句、「そうだね。とっても楽しかった。ありがとう。」と大人なセリフ…。「バカ野郎。チャンスを逃したな」という悪魔の囁き…。
仕方ないじゃん!カップル成立したわけじゃないんだからさ。