答えは変わらない

昨日のもう一軒行かない?の続きです。


ワインバーに到着し、案内された席に座ると美穂さんは「ボトルにしちゃいます?」と言ったんだけど、こっちはケッコウな酔っ払いだったからホントは「グラスで1〜2杯…」って感じ。
でも口から出た言葉は「OK!」の一言…。大丈夫か?俺…。
ワインのセレクトは彼女に任せ、僕はトイレに行った。トイレで用を足しながら、ここへ来る途中で携帯が震えていたことを思い出した。画面を見るとメール受信が1件。

差出人は「童顔美少女ちゃん」だった。

「返信がこないってことは、誰かとカップル成立してデート中かな?もしもそうだったらおめでとう。私は今家に帰ってきましたよ。まあまあ楽しいドライブだったかな…。またメールします。」
メールには、見慣れた観光地をバックに笑顔でブイサインをしている彼女の写メも添付されていた。「相変わらず可愛いな…」と、素直に感じてしまったんだけど、それが正直な気持ち。まあ、彼女とは別に何でもない関係だし、前回の婚活パーティー終了後にちょっとお茶しただけであって、それに彼女にはカップルが成立した相手もいるんだし…。
…と、自分自身にワケのわからない言い訳をしていた。
「ダメダメ!今は目の前にいる美穂さん一点集中で行かなくっちゃ!」と自分に言い聞かせて彼女の元へ戻る。

色んな話しをする中で、また僕の離婚歴についての話しになった。僕はできるだけ早く子どもを作りたかったけれど、彼女がどうしても仕事が大切で「今は産休なんて絶対にとれない」という気持ちが強かったこと。

いつの間にかどんどん仕事に集中する彼女とすれ違いが多くなってしまい、ほとんど会話もなくなってしまい、離婚に至ったこと。そして、同じような理由で別れた人とのことなんかを全部彼女に話したんだ。美穂さんは何も言わずに、時々うなずきながらずっと僕の話を聞いてくれた。

「そっか。それで1対1でお話した時に、あんなに真剣に仕事と家庭ってことを聞いてたんですねぇ。」
「そうなんだよね。僕にとっては一番大切な部分だから、最初からそのことをハッキリさせておきたいって気持ちが強くってネ。変な人だと思ったでしょ。」
「そんなことはありませんよ。最初はどうしていきなりそんなこと話すんだろうってびっくりしたのは事実ですけどね」と言って笑った。

「でも、今あらためてお話を聞いて、気持ちがとってもよくわかりました。」
「じっくり聞いた上でも答えは変わりませんか?」と聞くと、彼女はしっかりと僕の目を見つめて「はい。変わりませんよ」と答えてくれた。